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特集 黒澤明 第2回 「蜘蛛巣城」

蜘蛛巣城
蜘蛛巣城

この映画もシェークスピアの「マクベス」を見事に翻案した傑作です。

~ストーリー(ラストまで書いています)~

ある合戦の帰り、敵将を辛くも討ち取った三船敏郎は、森の中で怪しげな老婆に、「あなたは、昇進し、やがて一国の主になるだろう。」と予言されます。一緒にいた三船敏郎の親友の武将が俺にも何かないのかとたずねると老婆は「あなたの子孫は王を継承するだろう」と予言します。
2人は、その予言を全く取り合わなかったのですが、城に帰ると手柄により三船敏郎は、昇進します。この当たりから、2人は予言を少し気にしだします。
ある晩、三船敏郎の館に城主が泊まりに来ます。妻の山田五十鈴にそそのかされ、城主を刺し殺します。この頃から、三船敏郎は、老婆の予言の虜になってしまいます。
そして、親友の武将までも殺めます。予言のことが気がかりな三船敏郎は、その子供たちも殺めようとしますが辛くも逃げられてしまいます。
その後、その親友の子孫らが攻めに来るという噂を耳にした三船敏郎は、不安な面持ちで、先の森に老婆を捜し求め、予言を求めると老婆は「森が動かない限り、あなたは安泰だ」と言われ、一安心で城に帰ります。
この頃から、妻の山田五十鈴は、「手にこびりついた血が取れない」といって気が触れてしまいます。
城に帰ると家来たちが「森が動いている」と騒ぎ立てます。実は、親友の子孫の軍勢が木を隠れ蓑にし、攻めに来たのでした。すっかり動揺する三船敏郎ですが、家来たちも動揺し、全く勝ち目はありませんでした。
最後は、三船敏郎は、子孫らの軍勢の弓矢によって絶命します。この時の描写と三船敏郎の演技が圧巻です。
また、山田五十鈴の演技も摩訶不思議さをかもし出していて素晴らしいです。

~ストーリー解説終わり~

黒澤明は、オリジナル作品も素晴らしいですが、シェークスピアといいドフトエフスキーの「白痴」もよくできた作品となっております。

トグサ的評価:★★★★星半分

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特集 北野武 第1回 「ソナチネ」

ソナチネ
ソナチネ

この作品は、現在までの北野武の最高傑作だと思います。
この作品が発表された当時、通常より長い間、通常よりカッティングが長い間や北野武のナルシズムについて批評で取り上げられていました。
当時、北野武自身が“自殺”への言及が多かったのも事実です。
あのバイク事件の少し前に発表されていると思われます。
海岸での相撲の様子を紙相撲のように描写する実験的な映像化に成功しています。また、ロシアンルーレットの様子は、北野武の自殺願望やヤクザの覚悟を表しています。ここには、ユーモアの要素も組み込まれていますが。
また、なめた態度をとる素人を脅す場面があるのですがあるのですが、その脅し方が独特で、その時取る北野武を含めたヤクザたちの態度がヤクザの空恐ろしさを表しています。
また、北野武は小さな組長ですが、幹部と一緒のときのバーの場面で、幹部が「タバコ吸っていいぞ」との一言で一斉に皆がタバコを吸い始めるシーンも印象的です。
とにかくどこで知ったのか、ヤクザの非情な面を良く描けており、若松孝二監督に“北野武はヤクザの世界の実情をよく知っている”と言わしめた作品です。

~ストーリー~

北野武は小さな組の組長をしているのですが、系列の幹部から沖縄の抗争に参加するように言われます。北野武の組は、それまでにも抗争に参加させられ、組員を何人か失っており、その事を幹部に言い、参加を渋るのですが結局は参加を強制させられます。
沖縄に飛び、そこでキャンプみたいなものを張ります。
抗争は圧倒的に不利で、組員が次々凶弾に倒れていき、最後には北野武が単身、敵地に乗り込んで行きます。

~ストーリー終わり~

全体として、小さな組のおかれた悲哀を上手くストーリーに組み込み、よく表しています。
また、ヤクザの一員を演じている勝村政信がいい味を出しています。

トグサ的評価:★★★★星半分

「ソナチネ」という題名はクラッシクの世界の用語で、北野武は一連の作品の一つの節目を表すために付けた題名です。
最近の作品こそ、北野作品は観客動員も多いですが、当時は武自身が自虐的に“俺の作品は観客がはいらねえ”といってたほど、観客動員は非常に少なかったです。僕が映画館に観に行った時も数人しか観ていませんでした。武の才能を信じ、プロデュースし続けた奥山和由と出資し続けたバンダイには頭が下がる思いです。
この作品の姉妹版の「HANABI」当たりから話題になりましたが、こちらも武の自殺願望やナルシズムが出ていますが、自殺願望はともかくナルシズムについてはこの「ソナチネ」の方が上手く昇華されているのではないでしょうか?
最近、東京芸大の映像学科の主任教授に就任したようですが、自主映画も撮影所システムも学んでいない北野武が良質の作品を送り出しているのは全く持って脱帽です。

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特集 黒澤明 第1回 「乱」

乱


特集2人目は黒澤明を取り上げます。今でこそ、黒澤明の目ぼしい作品を、ほとんど観ており、世界を代表する巨匠であることを認めますが、この作品を観た頃には、時折、時代劇の大作を撮るが、“今では時代錯誤のおじいさん”という感想を抱いていました。
さて、この「乱」ですが、黒澤明監督自身がライフワークとしており、念願の映画化です。シェークスピアの「リア王」を毛利家の三本の矢のエピソードを交えて翻案しています。黒澤作品には「マクベス」を翻案した「蜘蛛巣城」という傑作もありますが、これは、また別の機会に紹介します。

「乱」ですが、原作の「リア王」がこれほど面白かったかなあと思えるほど重層的に出来上がっています。また、ピーターを狂阿彌という道化師に配していますが、非常に上手く演じておりピーターの新境地を出しています。この道化の役まありが面白く、リア王の一文字秀虎との掛け合いが、一文字秀虎が落ちるに従って立場が逆転して面白いです。人類学者山口昌男の道化とはそれに使える王の立場を逆転させることのできる唯一の存在だという研究通り、本来の道化の役割うを果たしています。詳しく述べると山口昌男の研究と状況が違いますが。

ストーリーは、仲代達也演ずる一文字秀虎が家督を子供たちに譲って、自分は気ままに余生を過ごしたいと申し出ます。3番目の息子である三郎太演る隆大介のみが“父は老いぼれたか”と言い席を立ちます。この後は、皆さんもご存知の展開となっています。
よく黒澤監督は女性を描けないと定説のように批評されますが、この作品では、2番目の息子根津甚八をそそのかす激情型の妻原田美枝子や、その夫根津甚八に短刀で迫るシーンでは、根津甚八は首を中にした状態で演技するのですが、納得するまでリハーサルを繰り返す黒澤監督のリハーサルの結果、根津甚八の首周りが3~5cmは太くなったという逸話もあります。また、1番目の息子である寺尾聡の妻宮崎淑子の貞淑さを対照的に描き分けており、前述の批評は少なくともこの作品で当てはまらないのでかと思います。
また、この作品で3億円だか5億円の城を実際に建造し、ストーリーの必要上、炎上させるのですが、その事が当時のワイドショーなんかに大きく取り上げていましたが、賞賛すべきは、お金の使い方を知っている黒澤監督と1回きりのチャンスに見事演じた仲代達也とそれを取り収めた黒澤監督ではないでしょうか。

また、黒澤監督を古くから尊敬している監督の中には3人の息子たちが三つ巴で合戦するシーンで3人それぞれの軍勢が、それぞれ息子たちの性格を表した黄、赤、青の色で配色された旗を持って戦うのですが、このことを捕らえて黒澤監督の昔の作品の使い古された甲冑を使っていた頃のリアリズムからかけ離れているとの批判もありましたが、もしそんなリアリズムで通していたら、どの軍勢がどれやら解らなくなり、華麗な合戦シーンとはかけ離れたものとなったでしょう。サスペンスなどの作品にも似たようなリアリズム批判が存在しますが、リアリズムは演出上の作品を盛り上げる一つの道具であって、リアリズムを徹底させると映画自体が成り立たないと考えるトグサでした。

豪快な猪狩りのトップシーンから、物語に引き込まれ、160分という長さを全く感じさせない戦国絵巻の一大叙情詩として仕上がってます。また、大御所の武満徹の音楽もこの戦国絵巻に非常にマッチし叙情詩を盛り上げています。黒澤映画には興味はあるが古い作品はチョットという方は、この作品から取り掛かればよいのではないでしょうか。黒澤映画は広大で豊かです。観ないで済ますに惜しい作品が沢山あります。おいおいこのブログでも紹介していきたいと思います。

トグサ的評価:★★★★★

特集クリント・イースドウッド第1回「恐怖のメロディ」

現在、「ミリオンダラベイビー」が好調のクリント・イースドウッドですが、「ミスティックリバー」の成功以降、70歳を超える年齢ながら様々なジャンルにチャレンジしていこうとしています。そのこと自身、イースドウッド自身が認めており、彼の弁によると“アクションはやりつくした”そうです。次回作は、あの有名な硫黄島に星条旗を初めて立てた人達をめぐる話です。といっても、あの写真はやらせであることが現在、認められています。ストーリーは、星条旗を立てた1人を父親に持つ子供がその事実関係を調べるというお話らしいです。硫黄島を見学するために今年、石原都知事を訪問しています。

このカテゴリーでは、僕が好きな又は注目する監督、俳優を取り上げて生きたいと考えています。
記念すべき第1回は、クリント・イースドウッドの1971制作の初監督作品「恐怖のメロディ」です。
クリント・イースドウッドは、アカデミー賞獲得作品「許されざる者」に代表される芸術作を多く作っているようにみられますが、実際は、「ダーティ・ハリー」に代表され、「タイトロープ」や「目撃」などのアクション娯楽作品や「ペイルレイダー」などの西部劇を多く監督しています。
クリント・イースドウッドは、「ダーティ・ハリー」や「アルカトラズからの脱出」でコラボしたドン・シゲール、「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」などでコラボしたセルジオ・レオーネを師と仰ぎ、彼らから大きな影響を受けています。
「許されざる者」は、レオーネにささげられています。

そのクリント・イースドウッドの第1回作品が「恐怖のメロディ」です。
数あっただろう脚本の中から、この「危険な情事」の原型のような娯楽作品を選んだことに、気鋭の映画評論家にして東大教授の蓮実重彦氏は着眼しています。

恐怖のメロディ
恐怖のメロディ

物語は、クリント・イースドウッドがDJをしている時に、決まった時間に必ず“ミスティ”という局をリクエストしてくる女性がいます。所は変わって、クリント・イースドウッドがいつも行く酒場で、ある若い女性と意気投合します。この時、バーテンダー役にクリント・イースドウッドの処女作を祝ってドン・シゲールが友情出演しています。
クリント・イースドウッドは、その女性と一夜を共にします。そこで、女性は、いつも「ミスティ」をリクエストしていたことを話します。
クリント・イースドウッドは離婚したばかりで独身ですが、この女性とは一夜限りのつもりでした。ところが女性はそう考えておらず、しつこくクリント・イースドウッドに付きまといます。初めは、相手にしていたクリント・イースドウッドですが、女性のエスカレートする行動にあきれ果て「別れよう」と女性に告げます。女性は、納得するのであったが・・・
この映画は上述のように「危険な情事」の原型のような映画です。しかしながら、この映画の女性は「危険な情事」のシャロン・ストーンのような美人ではなく、どこにでもいるような普通の顔をしています。また、このようなことをしでかすちょっとイカれた女性は確かにいそうです。そのため、非常に身近なことに感じられます。この点が「危険な情事」と大きく異なるところです。

トグサ的評価:★★★☆☆

クリント・イースドウッドは、ジャズに造詣が深くチャーリー・パーカーを描いた「バード」や最近では自身の映画の曲を作曲したりしています。
そのためか、昔からマイノリティである黒人をパートナーなど重要な役で出演させています。この「恐怖のメロディ」でもDJの相棒は黒人です。

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