今月、小島氏が取り上げた映画は、「ヴィタール」。
「鉄男」の塚本晋也が監督・脚本・プロデューサー・撮影監督・美術・編集を兼任しています。このことを取り上げ、小島監督は自分の作品の全てにかかわれない現状に引き比べて塚本監督を羨ましいと述べています。
ストーリーは、交通事故で浅野忠信が全ての記憶を失ってしまいます。解剖書に興味を抱いた浅野忠信は、医学部に進学します。そして、解剖実習をとして、それまで生きていくことに希薄だった浅野忠信は、生きていくことへの実感を得ます。
小島監督は、昨今の生きていることへの希薄さを大きく取り上げ、その現状を大いに嘆いていました。この映画の中でも恋人に振られ簡単に自殺してしまう教官や、その恋人が浅野忠信のことを好きになるのですが、付き合っている最中に、お互いの首を絞め合い、簡単に死のうとする場面が何度か登場します。
小島監督は、この映画をそんな現状からの生の再生を謳いあげた映画だと感想を述べておられましたが、僕は正直、そこまで感動できませんでした。
が、「鉄男」など非常にマニアックな世界から、エロスを描いた「六月の蛇」や今作など塚本晋也監督は新たな世界へチャレンジしようとしているなあとは感じました。
ヴィタール スタンダード・エディショントグサ的評価:★★☆☆☆
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