一般の韓国人の人たちを読み解くキーワードに“氾ハン”と言う言葉があるらしいです。怨むとか、そんな激しい感情のことらしいです。“冬ソナ”などの純愛物からは想像出来ないですよね。
この映画は、そんな“氾”と言う感情を前面に出した映画です。
この映画を観る前の僕の予備知識は、「15年間、何の理由もなく監禁されて、そして解放されて・・・・」という程度でした。
だから、一種のアクションサスペンスだろうという軽い気持ちで観始めましたが、それは間違いでした。映画を観てこんな凄い衝撃を受けたのは、いったい何年ぶりのことでしょう!。インパクトの質は、違いますが寺山修司の「田園に死す」を観てその映像表現に文字通り打ち震えた時から7年たってました。「オールドボーイ」は、人生賭けています。すさまじいです。タイトルの女人禁制とは、暴力が凄まじいとかというレベルではなく衝撃のラストが性別を選ぶからです。
オールド・ボーイ プレミアム・エディション
ーーここから冒頭のシーン15分程度ねたばれーーーーー
冒頭、酔っ払いのおっさんが警察に拘束され、時間の経過と共に一緒に拘束されている人達が移り変わるのですが、このおっさんはヘドを吐こうとしたり、くだらないギャグを飛ばしてみたり、警官にたてついたり、馬鹿面こいたりという日本の悪酔いしたおっさんとなんら変わらない風景のシーンが続きます。僕は、違う映画を観てるのかという錯覚を覚えました。そうしているうちに、友人が身柄を引き取りに来ました。で、家族と友人と代わる代わる電話している最中に突然、このおっさんが消えてしまいます。場面は変わり、このおっさんが監禁されている様子が映し出されます。監禁といっても一部屋与えられ、別に危害を加えられるわけではありません。僕は、ははん、主人公がこのおっさんに復讐しようとしているのだなあと思いました。一応、金槌持った男が頭から振り下ろすとしている広告写真見てましたから、まさか、このおっさんが主人公だとは思いませんでした。だが、情けない顔をしたおっさんは監禁15日目当たりで、あのポスター写真の顔に豹変します。
ーーーー冒頭シーンのネタバレ終わりーーーーーーー
解放された男は、自分を15年も監禁したやつに復讐を誓います。その監禁した奴にも立派な理由があったのです。監禁した直接の理由は、主人公が“ちょっと、おしゃべり”だからだそうです。主人公には身に覚えがなく、一所懸命、監禁した奴の身元と監禁された理由を知り合いになった若い女の子と一緒に探ります。この女の子と年甲斐もなく恋に落ちたりします。この主人公は、監禁された当初はただのだらしない中年男でしたが15年監禁された後、逆に引き締まって若返ります。
調べた結果を監禁した奴の所へ行き、対決するのですが、ここで明らかにされる話が凄まじいです。主人公の高校時代のちょっとした発言がとんでもない事態を引き起こし、主人公は、監禁した相手に舌を引きちぎって”これからはあなたの犬になります”とまで猛省させられます。
原作は日本の漫画です。そのため、全体的に韓国映画として仕上がっている本作の幾つかに日本の漫画らしい場面に遭遇します。例えば、主人公を15年の監禁生活から解放した後、主人公に監禁させた張本人が自身への復讐をゲームのように仕向ける場面、監禁させた張本人と監禁ビジネスを展開しているものとの人間関係は、日本ではパターン化しています。
それから、上述の最後の対決シーンで主人公の家族が大きくかかわってくるのですが、主人公が調べてた結果が真実の結果と大きくかけ離れているのですが、これは監禁させた張本人が仕掛けた罠の結果なのかどうかが描かれていません。
また、監禁させた張本人は、深い悲しみを背負っているのですが、その張本人がクールに描かれており、役者もそれにはマッチした演技をしています。それは中盤までは脚本上必要なことですが、深い悲しみのストーリーにも感情移入できません。この監禁させた張本人の深い悲しみのストーリーが、もっと普通の人にも納得させるストーリーであれば、もっとこの映画の格が上がったことでしょう。例えばクリント・イースドウッドの「ミスティック・リバー」のように
以上のような弱点もありますが、それは、この作品がいい作品だから、あとで気になった点です。映画自体は、うかつにしばらく映画を観れないようなくらい衝撃を受けました。もしかして、今まであまりこんな感想を見ないところをみると僕だけの特別なものかもしれませんが。
トグサ的評価 ★★★★★
個人的には何年かに一度しか出会えない映画だと思っています。
プチッと押してください。

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